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『建築家という名の研究者』

  • あつし・ゆーすけ
  • 2016年11月25日
  • 読了時間: 8分

岡本義富建築研究所/岡本義富さん

建築家紹介vol.6は、岡本義富建築研究所の岡本義富さんです。

前回紹介した谷重さんの紹介で今回取材させていただきました。

岡本さんの事務所は金沢市の北部、鞁筒町にあります。

周囲は山々に囲まれ、自然豊かな場所です。

私たちは、時間に遅れないようにと早めに出たのですが、

目的地に近づくにつれ山奥へ導かれ、最終的にはこの写真の道を行かせようとします、、、(笑)。

岡本義富設計事務所の近くの山道の写真

「ここの道で合ってるかなぁ……」

迷っていても仕方なく、後ろから車が来ていることもあり、近くに車を止めようとしたのですが、後ろの車の運転席を見ると、なんとそれは岡本さんでした。(笑)

岡本さんの事務所に岡本さんの車を私たちの車が先導するという異様な状況の中、道を進んでいくと、無事岡本さんの事務所に着くことができました。

申し遅れました今回の取材は新メンバーの佐竹(あつし)と松井(ゆーすけ)でさせていただきます。

初めての取材ということもあり、2人ともガチガチに緊張しています。

岡本さんの事務所はこちらになります。

岡本義富設計事務所の外観写真

なんと元々はログハウスを建てる会社の加工場だったとか!!

加工場を事務所兼住宅へとリノベーションしています!!

岡本さんの設計事務所の内観写真

元の建物は構造面や断熱性能が弱かったため、十数年で5回の改修をし、少しずつ今のかたちになったそうです。

話を聞くうちに、実物に興味をもち始めた私たちは、岡本さんに実際に内部を案内していただきました。

その内部は、建築家さんらしく、構造や設備、環境面に配慮されています。

ログハウス調や高い天井高の木組み、リビングには木材以外にもブロック塀が置かれており素材にもこだわられています。

岡本邸のリビングの内観写真(提供:岡本義富建築研究所)

しかし、単におしゃれに作っているというわけではないのです。

こうすればこうなるというふうに理論的には解っている部分はありますが、岡本さんの場合はそれを自分の住まいで実際にやっているのです。

例えば、窓の位置、断熱材の厚さを変えると、何℃変化するのかなど、自分の家で体験しながら、生活しているのです。

木材加工場の内観写真

平面図 改修前(提供:岡本義富建築研究所)

凝りすぎた趣味

実際の岡本さんのレコード部屋

私たちの分からない機材、オーディオなどたくさんおいてあります。

岡本さんの趣味が音楽鑑賞だということで、趣味の部屋を見せていただきました。

約24畳の部屋にスピーカーやアンプたちがたくさん置いてありました。

なんといってもその大きさ!

デカすぎます!!

そして、

実際に音を聴かせていただくと...

イヤホンやヘッドホンで聞くのとは違い、重低音の振動が直接からだに伝わってきます。

これで、JAZZを聴いているんですよ!

かっこよすぎます!!

大きい音で隣人に迷惑は掛からないのか、と思われますが、

思い出してください、岡本さんは自分の住宅を改修しています。

もちろん防音面も気にしているので問題ありません。

そういう点では、すごいですよね!

この部屋は、岡本さんが趣味に没頭できる、

「岡本さんの、岡本さんによる、岡本さんのための部屋 」

ということです。

それでは、岡本さんの学生生活、建築論を聞いていきましょう!!!

岡本さんとのインタビューの様子

地獄のような充実した大学生活

最初に大学生活のことを伺いました。岡本さんは東京の武蔵工業大学(現:東京都市大学)で大学生活を送りました。「当時のつらかった」をお聞きすると、衝撃の事実が判明しました

“2週間で1個の設計課題”

…もう少し詳しく話を聞いてみましょう。(笑)

岡本:まあ提出するのはA2の紙1、2枚だけど、1年間で十数個の設計をするんですよ。そういう授業があって、だからもう徹夜ばっかり。1週間はすこし遊べるけど、次の1週間は地獄のようでしたね。まあ楽しかったけどね。自分を追い込む感じでね。とにかくいろんな雑誌を見たね。中古の本を買ってきてそれをずっと読んでるような感じでしたね。

H(homeroom):僕たちの大学では、1年間で4つの課題なので、大変ですね、、、

岡本:その分交番、セミナーハウス、仮設テント、納骨堂、図書館…とかいろいろな設計を出来て楽しかったけどね。(笑)

一般的な大学では、2カ月に1課題のペースで行われますが、1/4程度の期間でやるなんて!ちょっと想像したくないです...

建築に対するこだわり

岡本さんは大学卒業後、金沢の浦建築研究事務所に就職します。約10年間働き、その間に1級建築士の資格を取得し、独立なされました。

H:浦建築設計事務所で働いているときと、独立した時で環境の変化ってあったんですか。

岡本:それはもう、180度違ったねえ。今はまあ妻も建築士なので、二人でやっているんだけど、やっぱりいろんな人とディスカッションすることがないというのは、大きな違いかなとは思うけどね。

H:ディスカッションはやっぱり大切なんですねぇ・・・

H:設計するにあたって心掛けていることはありますか

岡本:クライアントとの打ち合わせには長い時間を費やすよ。

クライアントの要求は言葉だけではどうしても分からないし、伝ほうも上手く伝えることができない。

そのため、何度も何度も打ち合わせをし、その人の人格や好みを引き出し、価値観を共有することで、それを建築に落とし込むようにしています。だから、自分を出さない人は少し苦手なんだよね(笑)。

打ち合わせを進めていくと、当初イメージしていたクライアントの人物像や好みが違ったと気づいた時に、それまでの設計案をゼロに戻すこともあるよ。でもその決断は決して無駄ではなく、こういうふうにしたらいいって見えて崩しているので、それはそれでいいことだと思うんですよ。

写真はインタビューの様子。机が立派です。

10年も経てばすごい差が出る

岡本:長い間大切に使われるとやっぱりうれしいよね。

大切に使われている家とそうでない家では10年も経てばすごい差が出るんですよ。

岡本さんはこれまでに住宅をはじめ、幼稚園や教会、オフィスなどを手掛けています。

鳴和台の2世帯住宅分離型2世帯住宅

2004年 金沢都市美文化賞 受賞

(引用:岡本義富建築研究所HP)

神田の家

2004年 金沢都市美文化賞受賞  

(引用:岡本義富建築研究所HP)

本多町の歯科診療所併用住宅

2004年 いしかわ広告景観賞 受賞

2005年 石川建築賞優秀賞 受賞

2006年 金沢都市美文化賞 受賞

(引用:岡本義富建築研究所HP)

このように、岡本さんのデザインは、比較的シンプルなものが多いです。それは、岡本さんの建てる建物が「そんなに目立たなくてもいいという考え」からだそうです。

もう少しお話しを伺ってみましょう。

“どっちみちそこに人がいれば、それだけで色がついてくるからね。”

かっこいい!!

岡本さんは設計において、生活環境を強要するようなことはありません。

施主さんが、自分の色に味付けできるように心掛けながら設計しています。

そんなところに岡本さんの人柄や性格が垣間見えました。

設計はパズル

そんな岡本さんにとっての設計とはどういうものなのでしょうか。

H:岡本さんにとって設計とは。

岡本:設計とはと聞かれると、まあ数学の問題を解くようなイメージがありますね。

敷地とかクライアントの要望とか、いろんな条件を入れていって、時には相反するように思える条件も、美しいバランスで作っていくことが設計だと思っています。もっと詳しく説明すると、色々な条件や機能を美しく構築することがデザインだと思っていて、空間をより美しく合理的に納めるためにもディテール=細部が大切になってくるんだと僕は思います。

問題を解くように設計するので、その中でいいデザインができたときは非常に気持ちがいいですよねえ。爽快な感じですよ(笑)。

自分のなかではそういう楽しさをもって設計はしてますね。

さまざまな条件が合致しデザインが生まれたときの爽快感と設計がうまくいったときの爽快感はどこか似ているのかもしれないですね。

そして、その爽快感こそ建物を建て続ける原動力となっているのかもしれませんね。

建築家 岡本義富の夢

夢を実現し、建築家として活躍する岡本義富さん。そんな岡本さんの今の夢とは何なのか?

H:次に叶えたい夢、願望とかはありますか。

岡本:やっぱりいい職人さんと仕事したいよねえ。

今までにで良い大工さんや職人さんに出会っているので、この組み合わせで仕事したいなという組み合わせがあるんですよ。

本当信頼できる大工さんとかそういう人たちだけで仕事をしたら楽しいだろうなあ。とは思いますね。そういう夢はあるね。

H:素晴らしい夢ですね。

岡本:でも、以外にできそうでできないからね(笑)死ぬまでに一度、職人さんの腕が確かなうちに一度やってみたいというのはありますね。

同じようにぼくも歳をとってきてますから。(笑)まあ早いうちにそういう機会があればいいですね。

今の抱いている夢を語る岡本さん。身振り手振り、熱意が伝わります。

岡本さんの選ぶ各々の専門職のスペシャリストが建てる建築物。是非見てみたいです!!!

きっと大工さんたちも岡本さんとのコラボを楽しみにしているでしょう!!

建築家という名の研究者

岡本さんは住宅の設計をする際には、完成して終わりではありません。大切に使われることを願って、メンテナンスや改修の提案を行ってくれます。

そのときだけの関係ではなく、長きにわたり付き合ってくれる、とても良い建築家さんだという印象を受けました。岡本さんはこれからも、施主さんのことを第一に考えた設計を行っていくことでしょう!!!

岡本さんとの記念写真

一級建築士事務所  岡本義富建築研究所 〒920-0161 石川県金沢市鞁筒町リ4-6 TEL:076-257-7162

FAX:076-257-7163

E-mail yoshitomi@okamoto-archi.jp

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